あるある探検隊ではありませんが、私の日本語教師あるある②を紹介したいと思います。日本語教師あるあるはまさしく日本語教師の職業病というやつです。
知らないふり、分からないふりをする
私は知っていること分かっていることでも、知らないふり分からないふりをすることが多いです。
なぜなら、学生の発話の機会をたくさん作り出したいからです。この自作自演の努力を積み重ねることによって、学生たちに物事を説明する力を身に付けさせることができます。
私は中国通なので、中国のことは何でもかんでも知っているのですが、学生の発話の機会をたくさん作り出すために、わざと知らないふり分からないふりをして、中国について、あれこれ質問することが多いです。
例えば、中国の国旗についてです。
「中国の国旗はなぜ5つの星があるのですか。」とか「なぜ中国の国旗は背景が赤いのですか」などです。
私はもちろんこのこともすべて知っているのですが、知らないふり分からないふりをして、学生に説明させています。
中国の国旗は「五星紅旗」と言われています。日本の日の丸と同じで、見たまんまをそのまま表現しています。
5つの星のうちの一番大きな星は中国共産党を表しています。その右にある4つの小さな星はかつて毛沢東が言及した4つの階級(労働者、農民、知識人、愛国的資本家)を表しています。つまり、五星紅旗は中国共産党をリーダーとして、4つの階級が一致団結して、中華人民共和国が構成されているということを表しています。
星を使っているのはおそらくそれぞれの階級が国のスターのような存在だからか、星は希望の象徴なので、それぞれの階級が国の希望だからだと思われます。
背景の赤色は共産主義革命を表しています。これは共産党を「赤」と表現することからも分かります。そのためか、中国では「赤」がとてもおめでたい色になっています。ですから、学生に好きな色を聞くと、「赤」と答える人が結構います。
その影響からか、中国の女性の下着コーナーも赤一色に染まっていることが多いです。日本では赤の下着は勝負下着というイメージがありますが、中国ではおそらくそのようなイメージはないのではないかと思われます。このことについてちょっと気になったので、勇気を出して、今度学生に聞いてみようと思います(笑)
もし学生に中国についての質問をして、答えられなかったら、「〇〇さんは本当に中国人なのですか」と言ってあげると、ソクラテスの無知の知ではありませんが、自分の国のことについて何も知らない無知の自分を自覚させ、羞恥心を抱かせることができます(笑)
この他にも学生が日本のドラマや漫画についての話をしてきたとき、それらを知っていても知らないふりをして、どんな内容なのかを聞いたりしています。
ある学生がその内容を説明してくれている際に、途中でその説明に困ったときに、別の学生たちが助け舟を出して代わりに説明してくれる状況が見られるのですが、そのような正の連鎖が見られたら、日本語教師にとってはしめたものです。
その様子を傍から見ていて、自分は役者だなと感じるとともに、知っているのに、知らないふりをする自分に対して、罪悪感も感じてしまうのですが(笑)。また、いつも知らないふり分からないふりばかりしていると、学生に馬鹿教師だというレッテルを貼られてしまうのではないかという危機感もあるのですが、それでも私は良いと思っています。
日本語教師はしゃべってなんぼだという先入観があるため、なんでもかんでも説明するのが良い教師だと思ってしまう節がありますが、それは大きな間違いであると声を大にして言いたいです。なぜなら、日本語教師がしゃべればしゃべるほど、説明すればするほど、学生の大事な発話の機会を奪ってしまうからです。
ですから、その先入観を打破するためにも、日本語教師はお地蔵様のように黙って、学生の話に耳を傾けるのが職業であると認識すべきだと強く思います。
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