『おむすびころりん』の本文と単語・文法
昔、昔、あるところに、とても優しいお爺さんが住んでいました。お爺さんは毎日山へ柴刈りに行っていました。「やれやれ、もう日が高くなったな。そろそろお昼にしよう」お爺さんはそう言うと、お弁当を食べ始めました。
お爺さんがお弁当を食べているとき、御結びが1つ落ちてしまいました。御結びは、ころころ、ころころ山を転がって、落ちて行きました。「御結びさん、待って!止まって!」お爺さんは、慌てて、御結びを追い掛けました。しかし、御結びは、どんどん転がって行きました。お爺さんも一生懸命追い掛けましたが、谷の方まで転がって行った御結びは、穴の中に落ちてしまいました。
御結びを追い掛けて来たお爺さんは「こんなところに穴がある。何の穴だろう」と思い、穴の中を覗いてみました。ところが、穴の中を覗いたお爺さんは、足が滑って、穴の中に落ちてしまいました。そして、穴の中をころころ転がり落ちて行きました。
「痛い~」穴の底まで落ちたお爺さんが辺りを見回すと、そこは鼠の家でした。鼠たちが、お爺さんの落とした御結びを美味しそうに食べていました。鼠たちも、お爺さんに気が付いて、言いました。「お爺さん、この御結びは、お爺さんのでしたか。とても美味しいので、こんなに食べてしまいました。少ししか残っていませんが、返します」それを聞いたお爺さんは、「いえいえ、そんなに美味しいなら、みんなで食べてください」と言いました。お爺さんが、そう言うと、鼠たちは喜んで、御結びを全部食べました。お爺さんは、「そんなに美味しいんですか。じゃ、明日も御結びを持って来てあげましょう」と言って、帰って行きました。
次の日のお昼になると、お爺さんは、また鼠の穴のところにやって来て、御結びを1つ落としました。こうして、毎日毎日、お爺さんは、鼠たちに、御結びを分けてあげました。ある日、お爺さんが御結びを持って、鼠の穴のところに来ると、鼠たちが顔を出して、「お爺さん、いつも御結びをありがとうございます。今日はお礼に私たちの家にお爺さんを招待します。どうぞ入ってください」と言いました。
お爺さんが、鼠の穴に下りて行くと、鼠たちは、お爺さんにたくさんのご馳走を出しました。そして、歌を歌ったり、踊りを踊ったりして、お爺さんを楽しませました。お爺さんが「もうお腹がいっぱいになりました。鼠さんたち、今日はありがとうございます。そろそろ家に帰ります。」と言うと、鼠たちは、大きな袋を運んで来ました。鼠たちは、「お爺さんもう帰ってしまいますか。じゃ、いつも御結びを分けてくれるお礼に、この袋をあげます。」と言って、大きな袋をお爺さんにあげました。
お爺さんは、「ご馳走になった上に、お土産までくれて、どうもありがとうございます。今日はとても楽しかったです」とお礼を言って、袋を担いで、家へ帰りました。家に帰ったお爺さんは、さっそく袋を開けてみると、中から大判、小判、たくさんの宝物が出て来ました。こうして、優しいおじいさんは、いつまでも幸せに暮らしました。
単語
柴刈り 日が高くなる そろそろ お昼にする お弁当 御結び ころころ転がる ~が止まる 慌てる ~を追い掛ける 穴 底 辺り ~を見回す ~が残る ~を返す ~を分ける 顔を出す お礼をする ~に~を招待する 袋 ~を運ぶ
文法
動詞(た形)+たり、動詞(た形)+たり 動詞(た形)+上に
『おむすびころりん』の内容確認の質問
①お爺さんは毎日山へ何をしに行っていましたか。
②お爺さんは日が高くなったころ、何をしましたか。
③お爺さんがお弁当を食べている時、どんなことが起こりましたか。
④お爺さんはどうしておむすびを一生懸命追い掛けたと思いますか。
⑤結局、おむすびはどうなりましたか。
⑥おむすびを追い掛けてきたお爺さんは何を見つけましたか。
⑦お爺さんは穴を見つけたあと、どうなりましたか。
⑧この穴の中は誰の家でしたか。
⑨穴の中で鼠たちは何をしていましたか。
⑩鼠たちはどうしておむすびを食べていたと思いますか。
⑪お爺さんは鼠たちがおむすびを美味しそうに食べている様子を見て、どんな約束をしましたか。
⑫お爺さんはその後、毎日、どんなことをしましたか。
⑬鼠たちはどうしてお爺さんを自分たちの家に招待しましたか。
⑭お爺さんは鼠の家の中で、何をしましたか。
⑮お爺さんは帰る時、何をもらいましたか。
⑯袋の中には何が入っていましたか。
⑰お爺さんはどんな性格の人ですか。
⑱この物語は読者にどんなことを伝えたいと思いますか。
⑲お爺さんはその後、どうしたと思いますか。
昔話は実際に寸劇として演技させたり、紙芝居形式で、発表させたりすることもできます。寸劇や紙芝居をさせると、感情を込めて、日本語を言う練習にもなりますので、日本語をさらに上達させることができます。
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