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文型の使い分け日本語文型

動作の場所の「で」と存在の場所の「に」の動詞

文型の使い分け
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動作の場所の「で」と存在の場所の「に」の動詞

 

格助詞の「で」は動作の場所を表し、格助詞の「に」は存在の場所を表します。格助詞の「で」も「に」も前に場所を表す名詞がくるため、学生たちはよく「で」を使うところに「に」を使ってしまったり、「に」を使うところに「で」を使ってしまったりしてしまいます。

 

①図書館で日本語を勉強する。

②図書館に日本語の本がある。

 

一般的に動作の場所を表す格助詞の「で」を使うときは①の文のように動態動詞を使い、存在の場所を表す格助詞の「に」を使うときは②の文のように状態動詞を使うように教えるのですが、ただし、例外もあります。おそらくこの例外があるために、学生たちは頭の中が混乱して、使い間違えてしまうのではないかと思います。

 

③庭で犬小屋を作る。

④庭に犬小屋を作る。

 

③の文は犬小屋を作るという動作が行われる場所が庭であるために、格助詞の「で」が使われています。庭が動作が行われる場所なので、動詞は動態動詞を使っています。ただ、この文だけでは作った犬小屋をどこに設置するのかまではわかりません。つまり、犬小屋の存在場所までは表していません。なぜなら、存在の場所を表す格助詞の「に」を使っていないからです。

 

一方、④の文は犬小屋が存在する場所、つまり、犬小屋を設置する場所が庭であるために、格助詞の「に」が使われています。しかしながら、動詞は「ある」という状態動詞ではなく、「作る」という動態動詞が使われています。

 

このように存在の場所を表す格助詞「に」であっても、動詞に動態動詞が使えてしまうのです。その理由はおそらく庭が犬小屋を作るという動作が行われる場所であるとともに、犬小屋を設置する場所にもなっているためだと思われます。

 

ただし存在の場所を表す格助詞「に」が動態動詞と一緒に使える場合は限られます。動態動詞が使えるか使えないかは場所と関係があります。

 

⑤工場でアイフォーンを作る 〇

⑥工場にアイフォーンを作る ×

 

⑤の文はアイフォーンを作る場所が工場であるので、正しい文になりますが、⑥の文は工場でアイフォーンを作っても、工場にアイフォーンを設置するわけではないので、この場合は非文になってしまいます。ただ、「工場にジョブズの銅像を作る」にすると、正しい文になりますが。なぜなら、工場がジョブズの銅像を作る場所であるとともに、銅像の設置場所になるためです。

 

つまり、私たちの頭の中には工場は何かを設置する場所ではなく、何かを作って出荷するという概念が強いため、「工場に」は「作る」という動態動詞との結びつきが悪くなってしまうのだと思われます。一方、庭は何かを設置する場所という概念も強いため、「庭に」は「作る」という動態動詞との結びつきが良いのだと思われます。

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