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「ろ」(授業面)

敬語カルタ

「ろ」(授業面)
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敬語カルタ

 

中国の学生に「日本語で何が一番難しいですか」と聞くと、必ずと言っていいほど「敬語です」と答えが返ってきます。特に、学生にとっては尊敬語と謙譲語の使い分けがとても難しいようです。なぜなら、中国語は日本語のように敬語が体系化されていないからです。

 

そのため、学生が敬語を使うとき、尊敬語を使うべきところに謙譲語を使ったり、逆に謙譲語を使うべきところに尊敬語を使ったりしてしまいます。

 

それならまだ良いのですが、そもそも敬語を使おうとすらしない学生も多数存在しています。ですから、3、4年生になっても敬語が一切使えず、1年生と同じように「先生はご飯を食べましたか。」とか「明日先生の寮に行きます」などと言う学生が多数います。

 

ただ、私は学生から一切敬語を使わずに話し掛けられるのに慣れてしまっているため、逆に敬語を使って話し掛けられると、違和感を感じるようになってしまったのですが(笑)

 

中国の学生はとても素直ですので、会話が終わった後によく「私の敬語は下手です。先生に失礼を与えていたら、すみません」と言ってきます。そのとき、私は「敬語が上手に使えることよりも、〇〇さんのその他人を思いやる気持ちのほうがもっと大事です」と言ってあげています(笑)

 

日本語教師と話すぐらいなら、敬語を一切使わず話しても、ぜんぜん問題ないのですが、もし日系企業の面接を受けたり、日系企業で働いたりするときには敬語を使えなければ、不利になってしまいます。なぜなら、日系社会は完全なる縦社会ですので、敬語を使えるかどうかが出世の鍵を握っていると言っても過言ではないからです。

 

ただ、実際は敬語が使えるかどうかよりも、上司にいかに胡麻を擂れるかどうかが鍵を握っているのだと思いますが(笑)。ですから、私の持論としては敬語の練習よりも胡麻を擂る練習をたくさんさせたほうが良いと思っているのですが(笑)

 

授業で敬語を体系的に教えるときは尊敬語と謙譲語の特別な形から教えることが多いと思います。なぜなら、尊敬語と謙譲語の特別な形が一番格式が高い敬語だからです。

 

ただ、この尊敬語と謙譲語の特別な形を講義形式だけで教えても、なかなか覚えてもらえないのが現状です。なぜなら、そこには楽しさがなく、苦痛だけしかないからです。

 

そこでその苦痛を取り除き、楽しく覚えてもらえるのが敬語カルタです。私はオンライン授業では敬語カルタをするのは難しいのですが、対面授業や日本語コーナーではよくやっていました。

 

五十音ゲームと五十音カルタ
五十音ゲーム五十音ゲームはカルタのように五十音の文字を早く取るゲームです。五十音を教え終わった後にすぐやると良いです。平仮名を教え終わった後は平仮名で、片仮名を教え終わった後は片仮名でやると、とても効果的です。五十音ゲームは1グループ4人ぐらいでやると良いです。まず、五十音のカードをこのように机の上や床の上に広げます。その後、教師が適当に五十音を1つずつ言っ...

 

この敬語カルタは1年生にやる五十音カルタをもとにして、考え出しました。実際日本の小学校の国語の授業でも敬語カルタをやっている先生もいらっしゃるようです。

 

カルタは子供染みているかもしれませんが、中国の学生はとても素直ですので、1度やると白熱してくれます。学生の中には「もう1度やりましょう」とか「明日もやりましょう」とか言ってくる学生もいるぐらいです。もしかすると中国にはカルタ遊びのようなものがないからなのかもしれません。

 

敬語カルタは自作ですぐに作ることができます。厚紙を用意して、そこによく使われる特別な形の尊敬語と謙譲語を書くだけです。たとえば、尊敬語であれば「召し上がる」「おっしゃる」、謙譲語であれば「いただく」「申す」などです。

 

敬語カルタは枚数が少ないですので、2人ペアでバトルすると良いと思います。最初は尊敬語だけで、次に謙譲語だけでやると良いと思います。

 

〈敬語カルタの手順〉

 

①教師が動詞を言う。例「いる」

 

②学生がその動詞の敬語を取る。例「いらっしゃる」

(その敬語を使って、正しい文を作ることができたら、点数をもらえるというルールにしても良いと思います。)

 

③①~②を繰り返す。

 

④すべて読み終えたら、学生が取った枚数を数える。

(一番多く枚数を取った人を優勝にすると良いと思います。同じ枚数であれば、その学生たちで優勝決定戦バトルを行うのも良いと思います。)

 

 

バリエーションとして、尊敬語と謙譲語を混ぜて、やるのも良いと思います。両方を混ぜると、尊敬語と謙譲語の2つを取らなければならない場合(見る 尊敬語「ご覧になる」 謙譲語「拝見する」)や尊敬語だけ、謙譲語だけを取らなければならない場合(くれる 尊敬語「くださる」 会う 謙譲語「お目にかかる」)もあるので、難易度が上がりますが、その分頭と手をフル回転させなければならないので、更に学生たちの戦いに火を付けさせることができます。

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