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「ろ」(授業面)

日本語の丁寧体と普通体

「ろ」(授業面)
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東京だけではなく、日本全国でコロナの感染者数がどんどん増えてきています。この状況を鑑みれば、緊急事態宣言が出された頃よりもコロナの感染者数が増えることは必然でしょう。

 

こんな状況なのにもかかわらず、日本政府はgo toキャンペーンをやろうとしています。いったい日本の政治家は何を考えているのでしょうか。まさかコロナへgo toキャンペーンを推し進めようとしているのでは。

 

医療関係者にとっても迷惑千万でしょう。この時期にわざわざ旅行に行って、コロナに感染しちゃった人たちを治療しなきゃならないのですから。

 

もしこのままコロナへgo to キャンペーンを推し進めたら、感染者数が爆発的に増えてしまうことは火を見るよりも明らかです。そのため、中国政府は一層日本人の入国規制を強化することでしょう。そうなれば、来学期も確実に中国へ帰れなくなることでしょう。

 

また、来年の東京オリンピックの開催も危うくなることでしょう。今後も感染者数が爆発的に増えていく日本に危険を冒してまで、選手や観光客が日本へ行きたいとは到底思えませんので。

 

日本語の丁寧体と普通体

 

中国語には丁寧体と普通体の区別がないため、中国にいるときは店員さんとお客の会話を聞いていても、何も違和感を感じないのですが、日本に帰ってきたら、店員さんとお客の会話を聞いていて、時々違和感を感じてしまうときがあります。それはお客が店員さんに丁寧体を使わず、普通体で話しているのを聞いたときです。

 

先日スーパーのレジに並んでいたとき、私の前に並んでいた男性客と店員さんのこんな会話を聞いてしまいました。

 

店員『ポイントカードはお持ちですか』

客『ない。』

店員『袋はどうなさいますか』

客『小さいのちょうだい』

店員『箸をお付けしますか。』

客『いらん』

 

このやりとりを聞いて、学生たちにこの会話を丁寧な形に直させたいなと思ってしまいました(笑)。これが日本語教師のあるあるです(笑)

 

この一部始終を側で聞いていて、「お客ってそんなに偉いのかよ、まだお客は神様だと勘違いしている人もいるんだな」と思うと同時に、学生たちには相手に不愉快な思いをさせる日本語は絶対に使わせたくないなと思いました。

 

先ほどの会話の模範解答は、

 

店員『ポイントカードはお持ちですか』

客『ない。』→『いいえ、ございません。』

店員『袋はどうなさいますか』

客『小さいのちょうだい』→『小さいサイズの袋を1枚いただけますか』

店員『お箸をお付けしますか。』

客『いらん』→『いいえ、結構です』

 

です(笑)

 

以前、ある居酒屋さんでもお客の注文の言い方が話題になっていたのを思い出しました。

 

 

このように言葉は使い方を間違えると、厄介な凶器にもなってしまい、それがブーメランのように自分にも突き刺さってしまうのです。

 

また、言葉はその人の人間性を表すバロメーターでもあります。ある調査では女性が嫌う男性のタイプに「店員さんにタメ口や横柄な態度を取る」が上位にランクインしていました。この調査結果はこのことを示唆しています。

 

私は学生を神様だと思っていますので、いつも学生に丁寧体で話しています(笑)。実際のところは、学生に普通体で話すと、聞き取れないおそれがあるから丁寧体で話しているだけなのですが(笑)

 

学生にとっては日本語の丁寧体と普通体の使い分けがとても難しいらしく、会話でも作文でもそうなのですが、よく両方を混ぜて使ってしまいます。本来であれば、丁寧体と普通体は水と油の関係ですので、混ざり合わせることはできないのですが、学生はよく丁寧体と普通体を水と魚の関係のように混ざり合わせて使ってしまいます。その理由はおそらく中国語には丁寧体と普通体の区別がないので、ここで母語の干渉が生じてしまうためだと思われます。

 

日本人にとっては丁寧体と普通体は時と場に合わせて、自由自在に使いこなせますが、学生にとっては、丁寧体と普通体を時と場に合わせて、自由自在に使いこなせるようになるのはとても難しいようです。

 

おそらく学生にとっては日本人が丁寧体と普通体を自由自在に使いこなせるのを見て、日本人が標準語(丁寧体)と方言(普通体)を自由自在に操っているように感じるのかもしれません。逆に考えれば、中国人が標準語と方言を自由自在に使いこなす感じは日本人が丁寧体と普通体を自由自在に使いこなす感じなのかもしれません。

 

多くの日本人教師にとっての目標の1つに学生に普通体をマスターさせることがあると思うのですが、この普通体をマスターさせるのはとても難しいです。

 

ですから、率直な意見を言いますと、私は学生に普通体は学ばせなくても良いとさえ思っています。なぜなら、普通体を学ばせることによって、学生の頭の中を混乱させてしまいますし、普通体は仲間内など使う場面がとても限られていますので、それなら、いつでもどんな場面でも使える丁寧体や敬語をもっと重点的に教えたほうが良いと思うからです。先ほどの店員と客の会話ではないですが、使う場面を間違えると、このようにとても失礼になってしまいますので。

 

そのため、普通体を学びたい学生は漫画やアニメなどを利用して独学で学べば良いとさえ思っています。そうすれば、日本語教師の負担も学生の負担も減らすことができ、一石二鳥です。そもそも中国の大学で普通体を学んでも、その学んだ普通体が使える場面なんて皆無に近いのですから、学ぶだけ時間の無駄だと思うのです。

 

たまに中国の日本語の教科書の中に1年生の最初の段階から普通体で書かれている教科書に出くわしたりするのですが、そういう教科書にあたると、ほんと日本語教師も学生も骨が折れます。なぜなら、丁寧体に直す作業から始めなければならないからです。

 

また、普通体の弊害と言いますか、学生の中には漫画で日本語を学んでいる学生もいるのですが(特に男子学生に多いのですが)、そういう学生は私と話すときも、普通体で話します。俺から始まる普通体を聞くたびに、上から目線で話されているような気がして、馴れ馴れしく感じ、嫌悪感さえ抱いてしまいます。

 

もしそれを直さず、化石化させしてしまうと、初対面の相手にも普通体を話す危険性さえもあります。そうなれば、日本人との人間関係にも影響を及ぼす可能性があります。

 

特に一番まずい場面は就職の面接です。普段から普通体で話していて、それが化石化してしまうと、面接中にやはりボロが出てしまうものです。

 

ですから、私は普通体で書かれた教科書を使うことに大反対です。中には親しい間柄でも普通体を使わずずっと丁寧体で話していたら、よそよそしい感じがするという意見があるかもしれませんが、親しき仲にも礼儀ありです(笑)。よそよそしい感じがしてもいいじゃないですか。

 

 

波平さんとフネさんの会話のやりとりを聞いてそういう結論にいたりました(笑)。二人は夫婦の間柄なのに、フネさんは波平さんに丁寧体を使って話していますが、ぜんぜんよそよそしさなんて感じません。むしろ、仲睦まじいおしどり夫婦のような感じさえします。ただ、男尊女卑的な感じも多少しますが(笑)

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