中国語は人称代名詞をよく使う
日本語は「あなた」「君」「彼」「彼女」などの人称代名詞はあまり使いませんが、中国語は人称代名詞をよく使います。
例えば、日本語では「先生はご飯を食べましたか」と言いますが、中国語では「老师,你吃饭了吗?」(先生、あなたはご飯を食べましたか)と言います。中国語ではこの老师(先生)は主語ではなく、単なる呼びかけの言葉であり、そのあとに、主語として你(あなた)という人称代名詞が必要になります。
つまり、中国語では呼びかけでない限り、相手の名前や肩書きを使うと不自然になるので、主語として「你」(あなた)、「他」(彼)、「她」(彼女)のような人称代名詞を使わなければなりません。
ですから、この影響を受けてか、中国の学生は質問するとき、「先生、あなたはご飯を食べましたか?」のように、「あなた」を入れてしまうことが多いです。初対面のオリエンーテーションのときなども、「先生、あなたはいつ中国へ来ましたか」のような「あなた」を入れて、質問することが多いです。
また、日本語の場合は「先生」「社長」「母」「父」のような呼称を繰り返し使いますが、中国語では呼称は繰り返し使わず、代わりに人称代名詞を使います。
例えば、日本語では
A:王先生はどこですか。
B:王先生は事務室です。
となりますが、
中国語では、
A:王老师在哪儿?(王先生はどこですか)
B:他在办公室(彼は事務室にいます)
のように、呼称の繰り返しを避け、人称代名詞を使います。先生であっても「彼」という人称代名詞を使います。
母語の干渉
上記のように母語の影響によって、様々な誤りを犯してしまうことを、 母語の干渉と言います。
ですから、中国で日本語を教える場合はこの母語の干渉をよく理解し、中国人にとってはどんな文法や語彙などが間違えやすいのか分析すると、とても教えやすくなります。
先ほどの例の場合だと、日本語では「あなた」「彼」「彼女」などの人称代名詞を使うと失礼になることや日本語では呼称の繰り返しが大事なことを伝えると、自然な日本語の使い方を身に付けさせることができます。
そのためには中国語の勉強も必要になってきます。やはりその国に住む以上、その国の言葉や文化をしっかり学ぶことも大切だと思います。それによって、お互いの強い信頼関係も生まれてきます。
やはり先生が中国語ができたり、中国の文化をたくさん知っていると、学生たちも親近感が生まれ、親しみを持って接してくれるようになります。
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