目的(Aには、B Aのに、B)の用法
目的を表す文型には「Aために、B」「Aように、B」がありますが、その他にも「Aには、B」「Aのに、B」があります。
①痩せるには、断食をするのが一番良いです。
②痩せるのに、断食をするのが一番良いです。
③痩せるために、断食をするのが一番良いです。
④痩せられるように、断食をするのが一番良いです。
これらはどれも目的を表しています。その理由はおそらく格助詞「に」には「図書館へ本を借りに行きます」のような目的を表す用法があるからだと思います。
「Aには、B」と「Aのに、B」の「B」にはその目的を達成するための意見や評価(~が良い、~が必要、~が役に立つ、~が便利)などを表す文がきます。
先ほどの例文の後文には「断食をするのが一番良いです。」と意見や評価を表す文がきていますので、③、④の文よりも①、②の文のほうがしっくりきます。③、④の文は、「痩せるために、断食します」「痩せられるように、断食します」のように、後文にその目的を達成するための具体的な手段が来るとしっくりします。
①コロナの感染者数を減らすために、ロックダウンしました。〇
②コロナの感染者数を減らすには、ロックダウンしました。×
③コロナの感染者数を減らすのに、ロックダウンしました。×
こちらは②、③の後文に意見や評価ではなく、その目的を達成するための具体的な手段がきているため、②、③は非文になります。
①コロナの感染者数を減らすには、ロックダウンが必要です。〇
②コロナの感染者数を減らすのに、ロックダウンが必要です。〇
このように後文に意見・評価を表す文が来ると正しい文になります。
「Aには、B」と「Aのに、B」の違いは、「Aには、B」の「A」には動詞以外に、名詞もくることができますが、「Aのに、B」の「A」には名詞はくることができないところです。
①結婚には、愛とお金が必要です。〇
②結婚のに、愛とお金が必要です。×
「~のに」が名詞を取れないのは、格助詞の「の」が名詞化の役割をするため、動詞しか取れないからです。
①中国へ入国するには、ビザが必要です。(一般的な事柄) 〇
②中国へ入国するのに、ビザが必要です。(一般的な事柄) 〇
③昨日私はPS5を買うには、5時間も並んだので、疲れました。(個別的な事柄) ×
④昨日私はPS5を買うのに、5時間も並んだので、疲れました。(個別的な事柄) 〇
また、「~のに」は目的に一般的な事柄も、個別的な事柄もくることができますが、「~には」は目的に個別的な事柄はくることができません。
①日本語の文法をしっかり教えるには、文法の参考書を買いました。(個別的な事柄) ×
②日本語の文法をしっかり教えるのに、文法の参考書を買いました。(個別的な事柄) △
③日本語の文法をしっかり教えるために、文法の参考書を買いました。(個別的な事柄) 〇
目的を明確に表すためには、やはり③のように「~ために」を使ったほうがしっくりきます。②がしっくりこないのは、後文が意見・評価ではなく、具体的な手段がきているからだと思われます。
1年生の学生に上記の違いを説明したとしても、混乱を招いてしまうばかりだと思いますので、目的を表すときは「「~ために」だけを使えばOKです」と言っておけば良いと思います(笑)
ただ、目的を表す「のに」は道具の使用用途を説明するときに使われることが多いですので、これは練習しておいたほうが良いと思います。
①ワインを開けるのに、コルク抜きを使います。
②コルク抜きはワインを開けるのに使います。
道具の使用用途を説明する場合は道具を主題化すべきですので、②の形で練習すると良いです。
「Aには、B」「Aのに、B」の文型練習
この文型の練習をするときは、道具当てゲームをすると良いです。
①学生に道具の名前が書かれたカードを1枚引いてもらいます。
②その学生にその道具の使用用途を説明してもらいます。
③他の学生たちにその道具が何であるかを当ててもらいます。
例えば、
①これは服を洗うのに使います。
②これは分からない単語の意味を調べるのに使います。
③これは料理を食べるのに使います。
④これは紙を切るのに使います。
⑤これは熱を測るのに使います。
⑥これは音楽を聴くのに使います。
⑦これは字を消すのに使います。
⑧これはお金を入れるのに使います。
⑨これはデータを保存するのに使います。
⑩これは食べ物や飲み物を冷やすのに使います。
道具の他に、「彼氏」と書かれたカードを入れておくのも良いと思います(笑)。そうすれば、きっと面白い使用用途の説明が出てくると思います。
こいつは物を買いに行かせるのに使います。
こいつはご飯を届けさせるのに使います。
こいつは荷物を持たせるのに使います。
彼氏カードは使役形の練習にもなりますので、まさしく一石二鳥です(笑)
