『アリとキリギリス』の本文と単語・文法
暑い夏の間、自分の体より大きなパンの欠片を背負って歩く働き者のアリがいました。アリがせっせとパンを運んでいるとき、バイオリンを弾いていたキリギリスが「何をしているのか」と尋ねました。アリが「冬に備えて、食べ物を運んでいるんだよ」と言うと、キリギリスは「こんな暑い日に働くなんて、馬鹿だよ」と笑いながら、言いました。そんなキリギリスは暑い夏の間、昼も夜も働かず、ずっと仲間と音楽会を開いて、歌を歌ったり、踊りを踊ったりしていました。
やがて夏が終わり、冬が近づいてくると、青々としていた草木が枯れ、葉が散っていきました。冬の準備を何もしていなかったキリギリスは、枯れ草の陰でお腹を空かせて、凍えていました。
キリギリスは夏の間に食べ物を運んでいたアリのことを思い出し、食べ物を分けてもらいに行きました。夏の間、散々馬鹿にされたアリはキリギリスの頼みを断りましたが、気の毒に思えてきたので、パンの欠片をあげることにしました。アリはキリギリスに「さあ、遠慮なく食べてください。元気になって、今年の夏も楽しい歌を聞かせてください。」と言いました。それを聞いたキリギリスは、嬉し涙をポロポロ流しながら、アリに何度もお礼を言いました。そして、アリを見習って、これからは心を入れ替えて、まじめに働くことに決めました。
単語
欠片 背負う 働き者 せっせと 備える 枯れる 散る 凍える 思い出す 分ける 散々 頼み 断る 気の毒 見習う 入れ替える
文法
動詞(ない形)+ず 動詞(て形)+てくる 動詞(て形)+ていく
『アリとキリギリス』の内容確認の質問
①アリは暑い夏の間もずっと何をしていましたか。それはどうしてだと思いますか。
②キリギリスは暑い夏の間ずっと何をしていましたか。それはどうしてだと思いますか。
③キリギリスはアリがパンの欠片を運んでいるのを見て、何と言いましたか。
④それに対して、アリはキリギリスに何と言ったと思いますか。
⑤なぜ冬が近づいてくると、キリギリスは困りましたか。それでどうしましたか。
⑥キリギリスに頼まれたアリはどうしましたか。それはどうしてですか。
⑦○○さんがアリなら、どうしますか。それはどうしてですか。
⑧キリギリスはどうして涙をポロポロと流したと思いますか。
⑨キリギリスはその後、どうして心を入れ替えたと思いますか。
⑩○○さんは心を入れ替えたことがありますか。それはどんな出来事を通じてですか。
⑪この昔話は日本ではよい結末に書き換えられていますが、元々の結末はどういうものだったと思いますか。
『アリとキリギリス』の元々の結末
キリギリスは夏の間に食べ物を運んでいたアリのことを思い出し、食べ物を分けてもらいに行きました。アリはキリギリスに「あなたは、なぜ夏の間に、食べ物を集めておかなかったの」と言いました。キリギリスは「暇がなかったんだ。歌ばかり歌っていたから」と答えました。それを聞いたアリは「夏の間歌ったんなら、冬の間も歌いなさい」と笑いながら、言いました。それを聞いたキリギリスは『歌うべき歌はもう歌い尽くしてしまったんだ。だから、僕はもう死んでもいい。ぜひ君は僕の亡骸を食べて、生き伸びて』と言いました。その数日後、キリギリスは餓死してしまいました。
こちらはかなり衝撃的な結末です。この結末を紹介した後、ディベート活動に発展させることもできます。「人生は、このアリのように、日々生きるために、一生懸命働き続けるべきか。それとも、このキリギリスのように、一度きりの人生だから、その人生を大切にして、自由気ままに楽しく過ごすべきか」。あるいは、「老後を楽しむために、貯金しておくべきか。それとも、今を楽しむために、貯金はしないべきか」なんて言うテーマも意見が2分して、面白いかもしれません。
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