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「に」(教材面)昔話の読解教材

昔話の読解教材② 『金の斧、銀の斧』

「に」(教材面)
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『金の斧、銀の斧』の本文と単語・文法

 

昔、昔、あるところに、正直者の木こりが住んでいました。ある日、木こりが誤って、森の中の湖に、斧を落としてしまいました。それは、木こりの1本しかない大切な斧です。これがないと、木こりは困ります。木こりは「神様、どうかお助けください」と、湖に向かって、祈りました。

 

すると、湖の底から女神様が現れました。女神様は、手に金の斧を持っています。女神様は「あなたが落としたのは、この金の斧ですか」と尋ねました。木こりは「いいえ、それは私の斧ではございません」と正直に答えました。女神様は、湖の底に、沈んでいきました。しばらくすると、女神様は、銀の斧を持って、もう一度現れ、「あなたが落としたのは、この銀の斧ですか」と、また尋ねました。木こりは「いいえ、それも私の斧ではございません」と、正直にまた答えました。また、しばらくすると、女神様は、鉄の斧を持って現れ、「あなたが落としたのは、この鉄の斧ですか」と尋ねました。木こりは「はい、それは、私が落とした斧でございます」と、女神様に言いました。 女神様は「あなたは正直者ですね。この金の斧と銀の斧もあげましょう」と言いました。正直者の木こりは、自分の斧が戻ってきただけではなく、金の斧、銀の斧までも、手に入れることができました。

 

この話を聞いた、隣の欲張りな木こりは、自分も同じことをやってみることにしました。森の湖に、自分の鉄の斧を放り込むと、「神様、助けてください」と叫びました。湖の底から女神様が、金の斧を持って、現れました。女神様は「あなたが落としたのは、この金の斧ですか」と、尋ねました。欲張りな木こりは、「そうです。それは私の斧です」と答えました。女神様は、「あなたは嘘吐きですね。これは、あなたの斧ではありません」 と言うと、湖の底へ沈んでいき、二度と姿を現しませんでした。欲張りな木こりは、金の斧、銀の斧を手に入れることができなかっただけではなく、自分の斧も失ってしまいました

 

単語                                  

正直者 木こり 誤る 斧 助ける 祈る 尋ねる 放り込む 失う   


文法
  

動詞(て形)+てしまいました ~だけではなく 動詞(て形)+てみることにします

 

 

『金の斧、銀の斧』の内容確認の質問

 

①昔、昔、あるところに誰が住んでいましたか。

②正直者の木こりはどうして困ってしまいましたか。斧がないと、どうして困ると思いますか。

斧を落としてしまった木こりはどんな性格だと思いますか。

④斧を湖に落としてしまった木こりはどうしましたか。 ○○さんなら、どうしますか。

⑤湖の中から誰が現れましたか。

⑥女神様は木こりに何と言いましたか。

⑦木こりは何と答えましたか。

⑧どうして女神様は木こりに金の斧と銀の斧をあげましたか。

木こりはその金の斧と銀の斧をどうしたと思いますか。どうしてそう思いますか。

木こりがもし「私は金の斧も銀の斧も要りません。私は心優しい女神様が欲しいです」と言っていたら、女神様は何と答えたと思いますか。

⑪この話を聞いた隣の欲張りな木こりはどうしましたか。

⑫女神様は欲張りな木こりに何と言いましたか。

⑬欲張りな木こりは何と答えましたか。

⑭欲張りな木こりはどうして金の斧、銀の斧を手に入れることができなかっただけではなく、自分の斧も失ってしまいましたか。

欲張りな木こりはどうすれば良かったと思いますか。その場合、金の斧と銀の斧をもらえたと思いますか。どうしてそう思いますか。

⑯この物語は読者に何を伝えようとしていますか。

 

『金の斧、銀の斧』は文章が短く、内容も簡単ですので、1年生向けです。場面ごとの絵を見せながら、読解の授業を進めていくと、場面がイメージしやすくなるため、内容理解の助けになります。

 

この昔話は1年生向けですが、ただ、この昔話をもとに、議論などをすれば、2年生でも使えます。例えば、「実際の世の中では、正直者と嘘吐きはどちらが得をしていると思いますか」「欲張りな木こりはこのことを教訓に性格が変わったと思いますかなどのようにです。

 

中国の学生は詰め込み式教育をずっと受けてきたためか、想像力や発想力がとても弱いように感じます。そのため、上記の赤のような質問になかなか答えられません。ですから、私は読解の授業のときも、考えさせる質問をできるだけ多く取り入れるように心掛けています。

 

この想像力、発想力は勉強のときだけではなく、社会に出たときにも必要なスキルの1つですので、この力を高めてあげることも日本語教師の大切な役割の1つなのではないのかなと最近思うようになってきました。 

 

また、上記の赤のような質問は想像力や発想力が鍛えられると同時に、自分の言いたいことを日本語で表現する練習にもつながります。これは1年生の段階では難しいことかもしれませんが、しかしながら、できるだけ早い時期から少しずつ取り入れてあげたほうが良いように思います。

 

なぜなら、自分の言いたいことを日本語で表現できる喜びなどを早い段階から感じてくれれば、学生のモチベーションを高めることができますし、また、日本語で自分の言いたいことを伝えられたら、それが大きな自信にもつながっていくと思うからです。

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