日本語の敬称「さん」①
日本語の敬称「さん」について、学生からよく聞かれる質問があります。
その質問とは「なぜ日本語ではお店にまで「さん」を付けるのですか」です。例えば、パン屋さん、本屋さんなどなどです。
私は「お店を親しみを込めて呼ぶため」ということは知っていたのですが、詳しい理由までは知りませんでしたので、調べてみました。
江戸時代の頃、商店の店名はその店の主人の名前と同じのが多かったようです。そのため、人々の間で「店名=人名」という認識が生まれ、「(商店名)+さん」という擬人化の表現が使われ始めたようです。
つまり、人々は建物であるお店も店の主人のように親しみを込めて呼ぶために、擬人化したと言えます。
それ行けノンタックの「エッヘン!おでこのめがねで、デコデコ、 デコリ~ン!」ではありませんが、そのめがねで擬人化されたお店を見れば、親しみを感じずにはいられないでしょう(笑)
明治時代以降になると、個人経営の商店だけではなく、その業種自体も「〇〇屋さん」と言われるようになったようです。例えば、「電気屋さん」とか「床屋さん」などです。これもその業種のお店で働いている人々を親しみを込めて呼ぶためです。
なぜ「〇〇屋さん」と言うのに、「〇〇店さん」とは言わないのかしら。
江戸時代の商人は一家の特徴を基に家に付けられる屋号を用いて、商売を行っていました。例えば、「越後屋」や「駿河屋」などです。そのため、当時の商人のお店の名前には「〇〇屋」というのが多くありました。人々はそのお店を親しみを込めて呼ぶために、「〇〇屋+さん」と呼び、それが定着化していったようです。
そのため、今でも「靴屋さん」や「玩具屋さん」など言っても違和感を全然感じないのです。しかしかながら、これを「靴店さん」や「玩具店さん」と言うと、とても違和感を感じてしまいます。それは上記の理由からです。
このようにお店の名前に敬称「さん」を付けるのは世界の言語を見ても日本語だけが持つ独特の表現なのではないかと思います。中国語にはこのような表現はありませんので、もし中国語でこのような表現をしたら、きっと幼稚な人あるいは精神がいかれた人だと思われるかもしれません(笑)
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