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「に」(教材面)昔話の読解教材

昔話の読解教材⑭ 『鵲の恩返し』

「に」(教材面)
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『鵲の恩返し』の本文と文法・単語

 

昔、昔、ある村に、頭が良い、若い男がいました。男はいつも弓を持って、出掛けました。ある日、男は役人になるための試験を受けに、都へ行きました。森を歩いている時、鵲の鳴き声を耳にしました。男が、鳴き声がする方へ行くと、大きな蛇が口を開けて、鵲の巣を襲っていました。親鳥は、巣の中にいる赤ちゃん達を助けられなくて、困っていました。すると、男は素早く蛇に向かって、矢を放ちました。矢は蛇の頭に命中し、鵲の赤ちゃん達は命拾いをしました。赤ちゃん達を助けてもらった親鳥は、男の頭の上を何度もぐるぐる回りました。男は「赤ちゃん鳥を大切に育ててください」と言い、再び都へ向けて、出発しました。

 
いつの間にか、日が落ちて、暗くなっていました。休む所を探していた男は、遠くに光を見つけました。光に向かって行くと、森の中に古い家がありました。男は門を叩きました。すると、家の中から白い服を着た若い女の人が出て来ました。男は「今夜泊めてください」とお願いしました。若い女は「いいですよ」と言い、男を泊めてあげました。男はこんな山の中で、女の人が一人で暮らしていることを不思議に思いました。

 

男は疲れていたので、ご飯を食べた後、すぐ眠りました。しかし、男は、苦しくて、目を覚ましました。すると、大きな蛇が男の体を締め付けていました。大きな蛇は、「お前が昼に殺した蛇は、私の主人だ。主人の恨みを晴らしてやる」と言いました。男は「鵲の赤ちゃんを助けるのがどうして悪いんだ。私はわざとあなたの主人を殺したのではない」と言いました。大きな蛇は「私の主人は、お前に迷惑を掛けていないのに、どうして殺されなければならないのだ。私達は、鳥や動物を食べて生きている動物だ。それなのに、どうして、それが原因で殺されなければならいのだ」と言いました。

 

男は、自分が犯した間違いを否定することができませんでした。しかし、後悔しても、すでに遅過ぎました。男は「私が間違いだった。私を殺すことで、あなたの悔しい気持ちがなくなるのなら、私を殺してくれ」と言いました。男が自分の間違いを認めると、蛇は「では、お前に生きるチャンスをあげよう。あの山の上の寺に古い鐘がある。もし朝になる前に、あの鐘が3回鳴れば、お前を助けてやろう。もし鐘が3回鳴らなければ、お前を殺す」と言いました。

 

男は「こんな森の中に人がいるはずがない。きっと私は殺されてしまうに違いない。」と思いました。少しずつ空が明るくなって来ました。「さあ、死ね」と蛇が口を開けたとき、「ゴーン」という鐘の音がしました。驚いた蛇は耳を疑いました。男も驚きました。しかし、鐘が鳴ったのは、1回だけでした。蛇が再び鋭い口を開けたとき、また「ゴーン」という鐘の音がしました。蛇も男も、とても驚きました。蛇は焦って、もう1回、鐘が鳴る前に、早く男を食べてしまおうと思いました。そのとき、「ゴーン」という最後の鐘の音が聞こえました。

 

蛇は「悔しいけれど、約束だから、仕方がない。お前を助けてやろう」と言った後、蛇は消えてしまいました。命が助かった男は、鐘があるお寺へ急いで行きました。すると、そこには、血を流した鵲二羽が倒れて、死んでいました。鵲夫婦は、昼に赤ちゃんを助けてもらった恩返しに、力いっぱい鐘を鳴らしたのでした。

 

若い男は鵲の恩返しで助けてもらった有難さを忘れませんでした。そして、いつも優しい心でむやみに動物を殺さず、人のために良いことだけをして、暮らしたそうです。
 

単語 

弓 ~を受ける ~を耳にする 巣 困る ~を放つ ~に~が命中する 命拾いをする ぐるぐる回る 日が落ちる 目を覚ます 主人 ~を締め付ける 恨みを晴らす わざと 迷惑を掛ける ~を犯す 鐘 ~が鳴る 耳を疑う 焦る ~が消える ~を流す ~が倒れる むやみに 

 

文法 

い形容詞+過ぎます 動詞(辞書形)+はずがないです 動詞(辞書形)+に違いないです

 

鵲の恩返しの内容確認の質問

 

①昔、昔、ある村にどんな男がいましたか。
男はどうしていつも弓を持って、出掛けたと思いますか。
③ある日、男はどうして都へ行きましたか。
④男は森を歩いている時、何を耳にしましたか。
⑤鵲はどうして鳴いていましたか。
⑥男はどうしましたか。
⑦男はどんな人ですか。
親鳥たちはどうして男の頭の上を何度もぐるぐる回ったと思いますか。
⑨森の中に何がありましたか。
⑩どうして男は門を叩きましか。
⑪家の中からどんな人が出て来ましたか。
⑫男は何を不思議に思いましたか。
⑬男はどうして目を覚ましましたか。
⑭大きな蛇はどうして男を襲いましたか。
男はどうして自分が犯した間違いを否定することができなかったと思いますか。
⑯自分が犯した間違いを否定することができなかった男は蛇に何と言いましたか。
男はどんな人だと思いますか。
⑱蛇は男にどんなチャンスを与えましたか。それはどうしてだと思いますか。
⑲男はどんな気持ちで、鐘が鳴るのを待ちましたか。
⑳実際、鐘は鳴りましたか。
㉑誰が鐘を鳴らしましたか。
㉒鐘を鳴らした鵲夫婦はどんな状態で死んでいましたか。それはどうしてですか。
鵲夫婦はどうして鐘を鳴らしたと思いますか。
㉔男の人は鵲夫婦をどうしたと思いますか。
㉕この後、男はどう変わりましたか。
男が鵲の赤ちゃんを助けたことは正しいことだと思いますか。正しくないことだと思いますか。○○さんなら、どうしますか。それはどうしてですか。  

 

㉖の質問はとても考えさせられる質問ですので、ディベート活動にすることもできます。ディベート活動は日本語で自分の主張を論理的に述べる練習にもなりますし、また、みんなのいろいろな意見を聞けるので、物事をいろいろな視点から考えられるようにもなります。

 

ただ、ディベート活動はクラス単位でやると、たくさんの学生がいますので、たくさんの学生をどうやってうまくディベートに導くか、教師の力量が問われます。

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