授業の難しさ
日本人教師は会話の授業を担当することが多いです。リスニングの授業であれば、教師は学生に発話させることなく、ただひたすらに話し続ければ良いのですが、会話の授業の場合はそうはいきません。なぜなら、学生の会話のレベルを高めるのが会話の授業の役割だからです。
ただ、そうは言うものの1クラスの人数が多いと、どうしても発話させる機会が減ってしまいます。なぜなら、人数が多ければ多いほど、各学生の発話できる機会がぐっと減ってしまうからです。
私の大学の場合は1クラス30人以上いますので、やはり1週間に2コマの会話の授業だけで、学生の会話のレベルを上げてあげることはとても大変です。なぜなら、人数が多いですので、質問をたくさん準備していても、時間が足りないため、1人1~2回ぐらいしか発言できないのが実情だからです。
私は会話の授業では各学生の会話能力を公平に上げてあげられるように1人1人に指名して、全員に当てています。ただ、その場合、指名されていない学生たちは自分には関係ない質問だと思って、その質問になかなか集中してくれなかったりするときも多々あります。
また、私はいつも出席番号順に当てているのですが、どうしても日本語が苦手な学生に当ててしまうと、発言するまでに時間が掛かってしまうため、授業のリズムが崩れてしまうこともあります。
各学生の日本語のレベルはみんな違うので、それは仕方がないことだと思のですが、ただ、その学生が答えられるまでずっと待ってあげていると、他の学生たちがだんだんとだらけてきてしまうことが多々あります。
これが大人数クラスで会話の授業を教える日本語教師の難しいところで、今の私の最大の悩みでもあります。
その悩みを解決するためには、出席番号順に当てずに、日本語が上手な学生にばかり当てるのが良いのかもしれませんが、ただ、その場合、日本語が苦手な学生はさらに日本語が苦手になってしまい、その学生の発話する機会が全く失われてしまいます。
また、日本語が上手な学生にばかり当てているのをカモフラージュするために、指名せずに、全員に質問してしまうと、あちらこちらから回答が出てきてしまうため、教師はその回答を拾うのが難しくなってしまいます。
出席番号順ではなく、挙手制に
これらの悩みを同時に解決し、会話の授業をスムーズにするために、ある良い方法を思い付きました。その方法とは手を挙げて、発言してもらうことです。会話の授業中、最低限1人1回は手を挙げて、発言してもらうようにします。まるで小学生の授業のようですが。
こうすることによって、できる学生は何回も発言することができますし、逆に日本語が苦手な学生にとっては、自分が答えられそうな質問のときに、手を挙げて発言することができますので、出席番号順の時のようにどんな質問が与えられるのかわず、困惑してしまうことがなくなります。そのため、気持ちにも少し余裕が生まれ、授業に積極的に参加できるようになるのではないかと思います。
日本語が苦手な学生にとっては、みんなの前で答えられないと、その学生の自尊心が傷つくおそれがありますので、手を挙げて発言してもらうのは良い方法なのではないのかと思います。
やはり、答えられず困っている学生の姿を見ると、とても不憫に思い、その学生が可哀想になってしまいます。
なぜなら、中国の日本語学科の学生の中には日本語が勉強したくて、日本語を専攻したわけではない学生もいるからです。そういう学生たちに授業中にさらに苦痛を与えるのは、とても残酷であるように思います。
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