チョウチンアンコウのオスの生きざま
私はよくyahooニュースを見ています。その理由は読解の授業で使えそうなネタを探すためです。
読解の授業は教科書もあるのですが、ただ、教科書の読解ネタはぜんぜん面白くも何ともないので、私も学生も知的好奇心がぜんぜん刺激されません。そのため、私は読解の授業ではあまり教科書は使わず、よくyahooニュースの記事を利用しています。
今回、読解教材として良いと思った記事はこちらです。
チョウチンアンコウの男は女に全てを捧げて逝く、メスに寄生するオスはやがてメスと一体化する
実はチョウチンアンコウのオスはヒモ男ならぬヒモ雄だったのです。ただ、チョウチンアンコウのヒモ雄はヒモ男と違い、その生きざまはまさに雄の中の雄なのですが。
メスの体についたオスは、メスに連れられていくだけで、自分で泳ぐ必要はない。そのため、泳ぐためのひれは消失し、餌を見つけるための眼さえも失ってしまう。それだけではない。メスの体からオスの体に血液が流れるようになれば、餌を獲る必要もないので内臓も退化する。そして、メスの体と同化しながら、子孫を残すための精巣だけを異様に発達させていく。価値あるものは、精巣だけというありさまなのだ。まさに、精子を作るためだけの道具と成り果ててしまうのである。
チョウチンアンコウのオスは、受精のための精子を放出してしまえば、もう用無しになる。もはやひれもなく、眼もなく、内臓もない体である。
そして「ずっと、一緒」と約束したオスは、静かにメスの体と一体化してゆくのである。その深い海の底でチョウチンアンコウのオスの体は静かに消えゆき、その生命も静かに閉じてゆくのである。
生命の神秘を感じるとともに、子孫を残すための雄の偉大さをも感じます。ただ、自分を犠牲にしてまで、子孫を残すことがそれほど重要なことなのかと考えさせられてしまいますが。
読解教材は読解教材だけではなく、会話教材としても使えます。例えば、こちらの読解教材の場合は読む前に「深い海の底には地上の光の届かない世界があります。深い海の底には人間たちの知らない生命の営みがあります。深い海の底には生命のどんな営みがあると思いますか」と質問を投げ掛ければ、学生たちの想像力を掻き立てさせることができるだけではなく、その想像したことを日本語で聞き手に伝える練習にもなります。
また、読解が終わった後に、チョウチンアンコウのオスの生きざまについて聞けば、自分の感想や意見を聞き手に伝える練習にもなります。
読解教材を選ぶときは学生の知的好奇心を刺激するものや知らないことを知ることができた喜びを感じられるものを選ぶと良いと思います。
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